皆さんこんにちは。
自然派薬剤師で3児のパパ、かめです。
マクロビオティック界の有名人、若杉ばあちゃんこと若杉友子さんの著書、「若杉ばあちゃんのアトピー・アレルギーの話」、読了。
若杉ばあちゃんが語りかけてくれるという形式の、とても読みやすい本でありながら、とても難解な本でした。スラスラと読み進められるのに、理解が難しいとは、これいかに。
その辺りを含めて、今回もアトピーに切り込んでいこうと思います!
アトピー・アレルギーは病気ではない。排毒現象!
本ブログでも主張してきましたが、やはりアトピーは皮膚の病気ではない…どころか、若杉ばあちゃんに言わせると、もはや病気ですらありませんでした。
アトピー・アレルギーは病気ではなく、排毒現象。「このままの生活ではいけないよ」と、身体が危険信号を出しているのです。
アトピー・アレルギーの症状が出ないようにするためにはどうしていったらいいのでしょうか。
答えはシンプルに2つ。身体を強くして排毒するための力をつけること、毒を身体に入れないことです。
では、どうやって身体を強くするのか?一体何が毒なのか?
これも答えはシンプルで、身体を強くしてくれるのは自然なもの、毒になるのは不自然なものです。
ここからが本書の学びです。
それでは一体、何が自然で、何が不自然なのか。
マクロビオティックの大家、若杉ばあちゃん。マクロビオティックの創始者である桜沢如一先生に、直接指導を受けた一人です。「野草料理研究家」、若杉ばあちゃんに学び、より健康で快適な生活を目指しましょう!
※マクロビオティックについては、下の記事をご覧いただければ幸いです。
現代は、不自然があふれている
皆さまお気づきでしょうか。現代は、不自然があふれているということに。
開封しなければ何年も腐らないジュース。
3カ月たってもカビが生えないパン。
暑い暑い日に、簡単に冷たいものが食べられるということ。
これらを支えているのが、科学力や技術力…と言いたいところなのですが、これが厄介です。
食品については、米や野菜に使われる農薬や化学肥料、除草剤、食品添加物など。スーパーに並ぶ食材には、ほぼ何かしらの化学物質が使われているとみて間違いありません。
食べ物だけではありません。消臭スプレー、シャンプー、スキンケア用品、合成洗剤、柔軟剤、建材など、日本には人工合成されたものがあふれ返っています。
これらは体内に侵入し、肝臓や腎臓に負担をかけます。そうして、自然治癒力や免疫力を乱すことが、様々なアレルギーが増えた要因とも言われています。
ともかく、アトピー・アレルギーを良い方向に向かわせたかったら、このような不自然な化学物質をこれ以上、身体にに入れないこと。食べ物をはじめ、暮らしをできるだけ自然に戻して、身体本来の力を取り戻していくことが大切です。
食の欧米化が進んでから、アトピー・アレルギーが多くなった
実際、戦後に食の欧米化が急速に進んでから、アトピーやアレルギーが多くなりました。
これはつまり、アメリカから輸入されたカロリー栄養学が不自然、つまりはアレルギーの温床になっているということを意味しています。
戦後、「子供を元気に育てるならタンパク質が必要だ」と言われ続けて、食生活が変わりました。けれど、わざわざそんなことをしなくても、日本人は強かったんです。
アレルギーの原因となる物質を見てみてください。
卵、牛乳、小麦、大豆、肉などのタンパク質群が多い。これが、現代の栄養学がアレルギーの温床になっているということです。
それではここからは、少し的を絞って、若杉ばあちゃんの本に解説を加えていきたいと思います。
今回の的は、ズバリ牛乳です。
色々なことが言われている牛乳ですが、果たして実際のところはどうなのか。そして、若杉ばあちゃんの本は読み進めやすいけれども分かりにくいという理由も、解説していこうと思います。
この本の文中に、次のような部分があります。
ばあちゃんははっきりと断言します。牛乳を飲んでも骨は強くならないよ。むしろ骨をもろくするばかりで、ひとつも役になんか立っていない。昔に比べると、虫歯、歯肉炎、歯槽膿漏、ねんざ、骨折などが多くなったよ。 ~中略~ 牛乳に含まれるたんぱく質はカゼインで、人間に必要なたんぱく質とは種類が違ってうまく消化できないの。人には必要のない牛乳を何かと理由をつけて飲ませる、これもよく考えれば牛乳ビジネスなんだよ。
若杉ばあちゃんのアトピー・アレルギーの話
いかがでしょうか。一見特に問題なく読めるのですが、ん?と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう。若杉ばあちゃんの主張には、根拠がないのです。いや、あるのだと思いますが、書かれていないのですね。
- 牛乳を飲んでも骨は強くならないよ。むしろ骨を弱くするばかり→その根拠は?
- カゼインは、人間に必要なたんぱく質と種類が違って、うまく消化できないの。→本当に?
例えば、上の2つです。今回はこの2つについて、補足していこうと思います。
説明の都合上、カゼインから補足していきます。
カゼインは、牛乳に含まれるタンパク質で約80%を占めます。そして、その種類は大きく分けて3つ。αカゼイン、βカゼイン、κカゼインです。
- ・αカゼイン(アルファカゼイン)
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牛乳カゼインの約55%を占めています。人乳とヤギ乳には殆ど含まれていません。
- ・βカゼイン(ベータカゼイン)
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牛乳カゼインの約15%を占めており、人乳に多く含まれています。
- ・κカゼイン(カッパカゼイン)
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牛乳カゼインの約30%を占めており、水に溶けやすく、安定剤として加工食品などに使われています。
この3種類のカゼインの中で、人が消化できるカゼインは、主にβカゼインです。牛乳に多く含まれるαカゼインは、私たち人間には消化できません。つまり、消化不良の状態になるわけですね。
さて、食べ物が消化できないと、何か良くないことが起こりそうですね。どんなことが起こるのでしょうか?
カゼインを1日に何度もとると、腸の中に消化できなかったカゼインが溜まり、腸に炎症が起こりやすくなります。すると、便秘・下痢などが起こります。
また、カゼインには小腸の細胞を傷つけたり、小腸の細胞を緩ませる働きがあることが分かっています。
小腸の細胞は、身体にとって要らないものや、消化できていない栄養素を取り込まないように、普段は細胞同士がぴったりとくっついています。しかしカゼインにより細胞が傷ついたり、細胞が緩んで離れてしまうと腸に穴が開き、本来身体に入るべきでない物質が血液中に入り込んでしまいます。
例えば、まだ消化されていない大きなタンパク質や、有害な腸内細菌などです。
これを「リーキーガット症候群」と呼びます。
更にαカゼインは消化できないために、そのまま身体の中に取り込まれてアレルゲンとなり、遅延型アレルギーの原因にもなります。
確かにその昔、牛乳が薬として用いられたいた時代もありました。日本でも、牛乳が入ってきた6世紀ごろから、薬にされていた歴史があります。
ただし、それは「生の牛乳療法」でした。つまり、加熱殺菌していない生の牛乳を、栄養剤として飲んでいたのです。牛乳のカゼインは、人体で消化されにくい成分です。しかし、生の牛乳には酵素が生きており、この中にカゼインを分解する酵素が含まれています。そのため、牛乳の中の豊かな栄養分を分解吸収することができたのです。
ここまでが、カゼインのお話です。
では次に、牛乳のカルシウムのお話に移りましょう。
上で説明したαカゼインは、実は牛乳のカルシウムの吸収率にも深くかかわっています。
カルシウムというのは、そのままでは身体に吸収できません。胃で胃酸によって溶かされ、「カルシウムイオン」というものになることで、初めて小腸から吸収され、栄養素として使えるようになります。
ところが、牛乳のカルシウムは、多くがαカゼインとかなり強く結びついています。そのため、胃の中で溶かしてカルシウムイオンにすることがとても難しいのです。カルシウムイオンにできなかったカルシウムは身体に吸収されず、便としてそのまま身体の外に出て行ってしまいます。
さらに、牛乳を飲むと、かえって体内のカルシウムが排出されるということが起こります。
その理論はこうです。牛乳を飲むと、消化されにくいカゼインなどのタンパク質多くとることになります。すると腸の中には、タンパク質の成分である窒素が増えることになります。この窒素が吸収されて血液中に増えてしまうと、血液が酸性に傾きます。しかしそれでは身体が困るので、身体はそれを元の弱アルカリ性に戻そうとします。人間の血液は、常に弱アルカリ性で保たれるようにできているからです。
すると身体は、血液を弱アルカリ性に戻すために、血液中のカルシウムを増やします。体内のカルシウムは、血液を弱アルカリ性に保つ役目もしているからです。そのために必要なカルシウムは、骨から溶かし出されます。
このように、調べていくと、確かに若杉ばあちゃんの言うことは間違いではありませんでした。
牛乳のタンパク質は人間には上手く消化できないし、牛乳は骨を強くなんかしないのです。
これを裏付ける研究も、既に世界中で発表されています。
1997年に発表されたハーバード大学の研究では、12年間にわたって、77,761人の看護師を調査しました。その結果、牛乳を多く飲んでいた人は、牛乳をほとんど飲まなかった人よりも、骨折の数が多かったことがわかったのです。
さらに、2014年に話題となったスウェーデンの大規模研究では、牛乳を多く飲んだ人のほうが寿命が短く、女性では骨折が増えるというデータが出ています。
そして実際、世界で1番牛乳を消費しているノルウェーでは、骨粗しょう症になる人が日本の5倍いると言われています。また日本でも、少人数のデータですが、ほぼ毎日、牛乳・乳製品をとる人に比べて、ほとんどとらない人のほうが、体内のカルシウム量が高い傾向にあるという研究報告もあります。
このように、牛乳のカルシウムは人間ではうまく利用できません。その上、骨のカルシウムも溶け出させることも知っておき、牛乳はあまり飲まないようにしたいものです。
カルシウムを補給するなら、小魚、海藻、緑黄色野菜、大豆製品、干しエビなどで摂りましょう。例えばブロッコリーや小松菜、からし菜、かぶや大根の葉など、色の濃い野菜にはカルシウムとのバランスに欠かせないマグネシウムも多くに含まれています。海藻類もカルシウムが豊富で、なおかつマグネシウムも適度に含んでいますのでバランスが良いですし、カリウムや鉄分などのミネラルもとても多いのです。
また、干ししいたけなど天日干しした食べ物は、ビタミンDを豊富に含みます。ビタミンDは日光浴でも活性化され、腸からのカルシウム吸収を助けます。
骨はカルシウムだけ摂っていれば作られるわけではありません。ほかの栄養素や、運動なども深く関わっています。「カルシウムの量が多い」という理由のみで、牛乳が勧められること自体が謎なのです。
まとめ
今回は、マクロビオティックの話になると思いきや、ほぼ牛乳の話に終始してしまいました。
そもそも若杉ばあちゃんの本は、上に書いたように根拠が示されていないことが多く、その代わりに主張と事例が多いので、ちょっと1回では書ききれませんでした。
また、次の機会に若杉ばあちゃんの他の主張も解説しようと思います。
今回のまとめは、とにかく牛乳は飲まなくて良し。飲むにしても常用は避け、あくまで嗜好品程度に抑えておいた方が無難でしょう。
そして冒頭の主張に戻りますが、アトピー・アレルギー=病気という思い込みを捨てること!そして毎日、身体を強くする良いものを食べさせて、あとはおおらかに、どんと構えて子育てをすること!
これが、今回のまとめですね!
次回の解説がいつになるかわからないから、若杉ばあちゃんの本が読んでみたい。そんな方は、下のリンクから是非、本を手に取ってみてください。
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