最近よく耳にするマクロビオティック。
マクロビカフェ。マクロビ食。
マクロビオティックとは一体何なのでしょうか。
皆さんこんにちは。
3児のパパで自然派薬剤師、かめです。
今回は、マクロビオティックについて解説します。
この記事を読んでいただければ、マクロビオティックについて理解し、実践する気持ちがわいてくるでしょう!
マクロビオティックとは何か?
結論から言うと、マクロビオティックとは東洋の哲学です。
この世界の原理原則に沿って、いかに幸せに生きていくかを追及しているのがマクロビオティックです。
マクロビオティックの提唱者は、実は日本人で、桜沢如一(さくらざわゆきかず)先生といいます。
彼の筆に、「五福を身につける一行を正食法(しょうじきほう)という」というものがあります。
五福(ごふく)とは、健康長寿、豊かな財力、無病息災、徳を好むこと、天命を全うすることの5つです。
五福は、元々は中国の「書経」という書物にある言葉で、書の中には「修身斉家治国平天下」という一文があります。
この一文は、「個人が心身を整えれば家庭が整い、家庭が整えば国家が整い、国家が整えば世界が整う」ということですね。
マクロビオティックとは正食法、つまり食事によって自分の身体を整えることが世界平和につながるんだよ、ということを言っているのです。
マクロビオティックの基本原則
マクロビオティックには、3大理念と呼ばれるものがあります。
マクロビオティックの3大理念
- 身土不二(しんどふじ)
- 一物全体(いちぶつぜんたい)
- 陰陽調和(おんみょうちょうわ)
ひとつずつ解説していきますね。
身土不二(しんどふじ)
「身土不二」(しんどふじ)は、もともとは仏教用語で、特に禅宗や日本の伝統文化では重要な概念です。
「身」は自分自身、「土」は環境や土地、「不二」は「二つで一つであり切り離せない」ということを意味します。
自然との調和、他者への配慮、環境への感謝などを通して、自分と世界の境目は無く、一体であることに気づく。
すごく簡単に言えば、生まれた場所に感謝して大切にしなさいよ、ということです。
これが「身土不二」であり、マクロビオティックのもっとも基礎となる概念です。
一物全体(いちぶつぜんたい)
「一物全体」(いちぶつぜんたい)も、同じく起源は仏教用語です。
一は全であり、全は一。まさに禅問答のようですが、この概念は身土不二と似たものがあります。
一物全体の考え方では、あらゆるものがお互いにに関わり合い、切り離すことはできないと捉えます。
つまり、全部のもの、全部のできごとは、つながっているんだよということ。
これによって分離感や孤立感をなくし、一体感や共感を育むことができます。
陰陽調和(おんみょうちょうわ)
マクロビオティックを語るには、陰と陽の話をしなくてはなりません。
陰陽の概念、そして、陰陽のバランスの重要性について解説します。
陰陽の概念
マクロビオティックでは、この世の全ては陰と陽という要素で構成されているとしています。
陰性と陽性とは一体何なのでしょうか?
これには2種類あります。1つは力の向き、もう1つは栄養素です。
陽性 | 陰性 | |
---|---|---|
力の向き | 例:心臓の収縮 | 右回りに凝集し中心に向かう力例:心臓の拡張 | 左回りに発散し外側に向かう力
栄養素 | 例:塩・肉 | ナトリウム例:生野菜・果物 | カリウム
陰陽のバランスの重要性
マクロビオティックの実践は、陰陽のバランスをとることが大切。
マクロビオティックは、陰と陽は互いに補い合い、そのバランスによって世界が成り立っているという考え方です。
例えば昼と夜、夏と冬、呼吸の「吸う」と「吐く」、心臓の「拡張」と「収縮」など、これらは全て陰と陽の概念です。
どちらかが欠ければ、これらは成り立ちません。
人体においては、陰か陽のどちらかに偏りすぎれば病気が発症するとされます。
なので、陰と陽の真ん中「中庸(ちゅうよう)」を目指して身体を整えていくのが、マクロビオティックの食事法の基本です。
物事の陰陽を理解し、中庸を目指していくことが、陰陽調和です。
マクロビオティックの食事スタイル
マクロビオティックの食事は、陰陽調和を重視し、自然食品を中心にしたスタイルです。
自然食品は栄養価が高く、健康に良いと一般的に考えられており、プロセス食品は栄養価が低く、過剰な摂取が健康リスクにつながることがあるとされています。
自然食品とプロセス食品の違い
自然食品とプロセス食品の違いや注意点についてまとめました。
自然食品 | プロセス食品 |
---|---|
人工的な処理や加工がされていない食品、無農薬・無化学肥料で作られた食品。 選ぶときは、有機・無添加・流通生産管理済みなどの表示を参考にするとよい。 一般的に栄養素の損失が少なく、栄養価が保たれている。 加工食品のように添加物を加えられていたり、化学的な処理がされて栄養価が損なわれていることがない。 自然食品の定義自体は曖昧なので、「ナチュラル」や「自然派」の言葉ではなく、きちんと表示で確認することが大切。 | いわゆる加工食品のこと。工業的な手法や化学的な処理をして加工された食品。 保存期間を延ばし、風味や色味を調節するために、添加物・保存料・着色料・香料などが含まれていることが多い。 塩分・糖分・脂肪分が極端に高かったり、加工の段階で栄養価が失われることがある。 缶詰・冷凍食品・スナック菓子・清涼飲料水加工肉製品など。 |
マクロビオティックでの料理の定義
マクロビオティックは、「料理」に明確な定義があります。
「植物という陰性に熱という陽性を加えて中庸に近づけ、身体に負担が少ないようにしていただく」というものです。
これは、陰陽調和の考え方によります。
人間は動物という陽性であるため、中庸に近づくには植物という陰性を摂る必要がある、ということですね。
マクロビオティックの食材と食事の準備
穀物・豆類・野菜・階層・果物・種子やナッツ・発酵食品が、マクロビオティックで主に使われる食材です。
穀物は玄米が基本で、他には小麦・大麦。キヌア・オーツ麦などが使われます。
マクロビオティックは穀物菜食主義ですが、特に穀物を重視します。
これは、人間の歯の構造に由来しています。
人間の歯は、臼歯6:門歯3:犬歯1 という割合になっています。
臼歯は穀物や野菜をすりつぶすための歯、門歯は植物を噛み切るための歯、犬歯は肉を噛みちぎるための歯です。
特に人間の臼歯は穀物の粒がピタリとはまるような構造になっており、穀物を食べるために進化したことがわかります。
食材の選択と調理法
マクロビオティックの食事は「身土不二」の考え方により、季節と地域に合わせた食材を選びます。
日本であれば日本でその季節に旬となる食材をつかいます。
季節に合っていないものはNG。
例えば果物なら南国の物であるマンゴーや、冬に夏の野菜であるナスを使うといったことは推奨されません。
調理法は、蒸す・煮る・炒めるなど、火と水とを使ったシンプルで自然な調理法を用います。
揚げるなどの高温調理法や、電子レンジによる調理などは、栄養価の損失の観点・自然でないという観点から推奨されません。
マクロビオティックの健康効果
ここからは、マクロビオティックを実践することで得られる健康効果について解説します。
免疫機能の向上
自然食品を中心に摂ることで免疫機能を向上させ、感染症の予防に効果があります。
主に発酵食品(納豆、みそ、醤油など)の免疫をサポートする機能が注目されています。
腸内環境の改善
マクロビオティックの食事は、食物繊維が豊富で、便の調子を整えます。
また、発酵食品によって腸内細菌のバランスが改善され、腸内の炎症を抑える効果も期待できるでしょう。
精神的な健康の増進
マクロビオティックの食事は、陰陽調和によって自律神経のバランスを整え、精神の安定につながります。
また、食事を通して身土不二、一物全体の概念に触れることにより、世界との一体感を感じ、孤独を解消します。
マクロビオティックは、個人に合わせて調整できる柔軟な食事法です。
「一般的にこれが正解」というルールは無いため、自分の身体の声を聞きながら、適切に実行することが大切です。
専門家の指導のもとで実践する、または極端に偏ることはせずに徐々に取り入れていくとよいでしょう。
マクロビオティックの実践と注意点
ここからは、マクロビオティックの食事法を実践するときの注意点について解説していきます。
貧血のリスク
マクロビオティックは、肉や魚の摂取が制限されています。
ヴィーガンやベジタリアンのように完全に禁止ではありませんが、4つ足の動物の肉は血を汚すとしており、食べることは控えるのが基本です。
そのため、鉄分が不足しがちになる傾向にあります。
鉄分を豊富に含む食材(豆類、葉物野菜、海藻など)を意識し、ビタミンCを含む野菜や果物と一緒に摂るなど、鉄分を意識して補うことが大切です。
タンパク質不足のリスク
マクロビオティックは、タンパク質源として豆類や大豆製品などを活用します。
しかしこれらの食品を十分に摂れないと、タンパク質不足になる可能性があります。
特にベジタリアンやヴィーガンの方がさらにマクロビオティックを実践する場合は、タンパク質源に注意が必要です。
日本人の成人のタンパク質必要量は、だいたい50~70gとされています。
これは豆腐だと2~3丁とかなりの量になってしまうので、結論として肉や魚もある程度は必要だと思います。
栄養不足のリスク(妊娠や授乳中の女性など)
妊娠中や授乳中の女性は、特に栄養不足にならないように注意する必要があります。
また、食事中のカロリー摂取にも注意し、十分なエネルギーを確保することを心掛けるとよいでしょう。
鉄分やカロリーの高いタンパク質はしっかりと摂ることが大切です。
また、白米を玄米や分づき米に置き換えることで、必須アミノ酸なども補うことができます。
アレルギーのリスク
個人個人に合う食事というのは、まさに千差万別です。
誰かに合う食事が、他の人に合わないこともあるでしょう。
マクロビオティックであってもそれは同じで、特にアレルギーには気をつける必要があります。
特に大豆アレルギーの人は、マクロビオティックでの重要なタンパク源がひとつ使えなくなってしまうことになるので、栄養不足に注意しなくてはなりません。
まとめとマクロビオティックの今後の展望
マクロビオティックとは、世界平和を目指す哲学です。
そして、世界平和のためには、まずは自分から整えていかなくてはなりません。
自分を整える方法のひとつが、マクロビオティックの食事法です。
マクロビオティックは、今後も発展していくと思われます。
少なくとも身土不二の概念の副産物である「地産地消」は、まさに今叫ばれているSDGsそのものでしょう。
また、科学がどんどん進んでいる昨今、陰と陽の概念などが解明され、科学的根拠がそろう日も近いのかもしれませんね。
まずは食事を、少し自分に優しいものに変えることから始めましょう。
出来合いのものよりも、手作りのものを。プロセス食品よりも、自然食品を。
皆で豊かに、健康になりましょう!
下の記事は、もう少しマニアックです、良ければこちらも読んでみてください。
以下、参考にさせていただいたサイトです。
コメント